この遺跡は、Buriram県のA.Prakhon ChaiのBan Kok Muangにあります。
Phanom Rungから東に下り、バライの途中から南東へ折れます。
(右下写真:Muang TamのInformation Centerにあった航空写真)
Prasat Muang TamのTamとは「グレードが低い」、Muangは町、Prasatは神殿で、
グレードが低い町の神殿と言う意味になりますが、
このグレードが低いとは、すぐ近くのPrasat Phanom Rungと比較した意味のようです。
よってMuang Tamは、Phanom Rungの門前町的な位置づけだったのかもしれません。
遺跡は、右の説明文にあるように、
以下の構成になっています。
①周壁(東西南北の中央に塔門有り)
②L字型の池
③回廊
④5基の祠堂
(前列3基、後列2基。
前列の中央は、他の祠堂より、
大きな主祠堂がありましたが、
今は崩れています。
⑤2基の経蔵
遺跡の入口横にあったまぐさ石です。
レプリカのようです。
遺跡の入口横にあった破風です。
これもレプリカです。
本物は、
Phimai国立博物館に有ります。
東正面から塔門を見たところ。
東塔門です。
カーリヤ竜と闘うクリシュナのまぐさ石が
あります。
また、塔門内部にも、カーラに乗る神のまぐさ石が
見えます。
カーリヤ竜と闘うクリシュナの話は以下。
ヤムナー川に住んでいたカーリヤ(毒蛇)により
川が毒水になり、多くの生き物が死にました。
それを知ったクリシュナは、川に飛び込み
カーリヤと戦い、鎌首を上げたカーリヤの
頭の上で踊ります。
宇宙を蔵するクリシュナの重さに耐えかねた
カーリヤは気絶します。
そこで、カーリヤの妻がクリシュナを讃え命乞いをし、
カーリヤ達は、海へ去ります。
そして、ヤムナー川は無毒となり、甘露のように
なりました。
そのカーリヤ竜と闘うクリシュナのまぐさ石です。
東塔門を中に入ると、
正面に更に回廊の塔門があります。
そして、周壁と回廊の間には、L字型の池が
あります。
内回廊の東門のカーラの上に座る神のまぐさ石と
破風です。
その東門を入り振り返ると、
1つの頭と、3つの体を持つシンハの破風。
中央のシンハが、両側の象をつかみ食べている図の
破風があります。
その下には、
カーリア竜と闘うクリシュナのまぐさ石が
あります。
Muang Tamには、
カーリア竜と闘うクリシュナのまぐさ石は、
全部で3つあります。
下は、その破風とまぐさ石の拡大写真です。
内回廊の東門を入ると、正面に見えるはずの中央祠堂は、既にありません。
基壇のみが残っています。
その中央祠堂にあったまぐさ石は、下のスケッチ写真のまぐさ石で、
シヴァ神とウマーの結婚式がモチーフです。
本物のまぐさ石は、現在、
Phimai国立博物館にあります。
中央祠堂にシヴァ神のまぐさ石があったと言う事は、この遺跡の主神は、シヴァ神と思います。
参考までに、シヴァ神とウマーの結婚式のまぐさ石は、Wat Pho Yoiにもあります。
そして、中央祠堂の北隣の祠堂には、
聖牛ナンディンに乗るシヴァ神と
その妻のウマーのまぐさ石があります。
シヴァ神の右手には、トリシューラ(三叉戟)を
持っています。
その下のカーラは、シンハの後足を
つかんでいます。
Muang Tamの住民です。
後列(西側)の北側祠堂のまぐさ石です。
ゴーヴァルダナ山を持ち上げるクリシュナです。
その伝説は以下。
クリシュナは、インドラ神の高慢をくじく為に、
森と山のおかげで生活している牛飼村の人々に、
牡牛とバラモンとゴーヴァルダナ山を敬い
犠牲祭をする事を提案し、インドラ神の崇拝を
中止します。
インドラ神は、クリシュナの提案で、
自分に対する崇拝が中止された事を怒り、
牛飼村に大雨を降らします。
クリシュナは、ゴーヴァルダナ山を引き抜き、
片手で傘のように頭上にさしかけ、人々、家畜を、
その下に避難させました。
(右のまぐさには、避難している人、動物の描写があります。)
これを見たインドラ神は、驚嘆し、雨を降らせる事をやめました。
後列(西側)の南側祠堂のまぐさ石です。
ハンサの上に座る神です。
ハンサを乗り物にしているのは、
通常ブラフマー神ですが、この場合は??
中央は、前列(東側)の南側の祠堂です。
その後ろに見えているのが、
後列(西側)の南側祠堂です。
右端に見えているのは、中央祠堂の基壇跡です。
前列(東側)の南側の祠堂のまぐさ石です。
カーラの上に坐る神のレリーフです。
北側の経蔵です。
カーラの上に坐する神のまぐさ石です。
内回廊の南門です。
ここにも、
カーリア竜と闘うクリシュナのまぐさ石が
あります。
その拡大写真です。
内回廊の西門です。
内回廊です。
西門辺りから北側を見たところ。
西側の周壁から遺跡を見たところ。
北西のL字型の池へ向けた降り口の上の
破風です。
北東隅から、池越しに遺跡を見たところ。
L字型の池の周りには、胴体を地につけた
ナーガがいます。
以下は、南東のL字型の池へ降りる為の入口。
いたるところへカーラに座る神のまぐさ石が
あります。
まぐさ石に、せん断荷重が加わるのを防止する為に、
上部構造の重量を左右に分散させる為の構造と思われます。
(右写真の丸印)
Muang Tamの北側横には、
大きなバライがあります。
そのバライです。