遺跡の街 / Prasat Phimai
: 訪問日 α?、18Jun2006、08Jul2006、22Oct2006




















この遺跡は、Nakhon Ratchashima県の
Phimaiにあります。

Nakhon Ratchasimaから、2号線を北上し、
途中、2163号線へ折れ直進するとPhimaiがあります。

道の前方に森が見え、その木立ちの上に、
祠堂の先端が突き抜けて見えます。

クメールの王(JayavarumanⅥ、SuryavarumanⅡ、
JayavarumanⅦ)に従い、
この辺りを治めていたMahindrapura家によって
造営された大乗仏教が祀られた寺院であったようです。


Mun Riverを渡りPhimaiの街中に入って行きます。
渡ったすぐ横に、 Phimai国立博物館 があります。

この遺跡は、北側をMun River、
西をその支流のChakarat River、
南をKhem Riverに囲まれています。









遺跡の東側のSa Plaengと言うバライがあります。
バライ越しに祠堂の先端が見えます。(丸印部)













その拡大写真です。














ナーガのブリッジ(サパン・ナカラート)です。

天界と人界を繋ぐ橋と言う事です。












遺跡を正面(南側)から見たところ。

クメール遺跡は、一般的に東を正面としていますが、
Phimaiの遺跡は、南側少し東よりを向いています。
クメールの都城(アンコール・ワット)方向に向けて
造られたと言う説もありますが、定かではありません。
























ナーガのブリッジの手前には、シンハが守っています。

ナーガのブリッジの向こうに周壁があります。
周壁の塔門の上に、祠堂の先端がのぞいています。











そのシンハです。
後は、ナーガのブリッジです。













周壁の南側塔門のまぐさ石です。














塔門の入口のピラスター下部の苦行者(Rishi)の
レリーフです。













南側塔門を抜け祠堂を見たところ。

祠堂に向かう参道の周辺から、大量の瓦、屋根飾りが
出土したと言う事で、木造の柱で支えられた木造の屋根が
あったと考えられています。

また、参道の両側に、四角い沐浴用の池が、
2つづつ計4つあります。
私が訪ねた時は、水はありませんでした。

祠堂は、回廊で囲われています。




その回廊の南塔門正面入口上部のまぐさ石です。













下は、その拡大写真です。
巨人が象を空中に掴み上げています。
象と闘うクリシュナのモチーフと思います。















このまぐさ石は、南塔門の正面入口の東隣の入口の
まぐさ石です。

上記のまぐさ石と良く似ていますが、ちょっと違います。










下は、その拡大写真です。
巨人が2匹の猪と闘っている図です。
クリシュナではないかと思います。















南塔門下部のレリーフです。


















南塔門へ入って行くと、フロアには、穴が開いています。














吉兆を占った穴のようです。

白水晶やルビーだけでなく、
8枚の花びらの蓮の形の金の葉が
供えられていました。
現在は、 Phimai国立博物館
展示されています。






回廊の塔門を抜け、祠堂を南正面から見たところ。


















祠堂の南側に隣接してMandapaと呼ばれる
拝殿があります。

その拝殿の破風は、踊るシヴァ神です。












その拡大写真です

踊るシヴァ神の足元には、信者達が並んでいます。

顔が無くなっているが左端の信者は、
周りの王達が奪い合う美懇の王妃カリーカラミヤ
だった。
王達の争いを憂いたカリーカラミヤは、
シヴァ神の踊りで美しさを破壊してもらいます。
醜女となったカリーカラミヤは、
垂れた乳房で表現されています。

右端は、ナンディン牛に乗った苦行者です。

左側のシヴァ神の膝部 は、わかりにくいですが
ハンサに乗ったブラフマー神のように見えます。


右は、拝殿の南側入口のピラスター下部の像です。

Michael Freeman著の
「KHMER TEMPLES IN THAILAND & LAOS」の
中で、 左手に矢の束を持つVajrasattvaとあり、
the Buddhist Tantric deityと説明があります。
Wikipediaで、Vajrasattvaとは金剛薩捶とあります。
金剛のように堅固な菩薩心を持つ菩薩です。

Vajrasattvaが、死人の上で踊っています。









祠堂内部のまぐさ石です。

魔王ラーヴァナとラーマ王子の戦いのシーンか?













祠堂内部のまぐさ石です。













下は、そのまぐさ石の拡大写真です。

中央上部は仏陀で
Maraと言う幻影の悪魔達が仏陀に襲いかかります。
また、仏陀の横には、仏陀を誘惑する女達がいます。
そして、象やドラゴンに乗った兵士達もいます。















このまぐさ石は、東側の入口上部のまぐさ石です。














右は、そのまぐさ石の部分拡大写真です。

中央は、3つの顔と6本の手を持つ
Trailokyavijayaです。
Trailokyavijayaは、Phimaiの碑文に記載されている
仏教の地神と言う事です。
象の敷物の上に寝かされた2体の死体の上で
踊っています。

下段でも、Trailokyavijayaの両脇で踊っている
人々が死体の上で踊っています。

Traiは3、lokaは世界、vijayaは征服者と言う意味で、
Trailokyavijayaの意味は、3界の征服者と言う
意味です。




このまぐさ石は、西側入口上部のまぐさ石です。
説法をする仏陀の立像です。













主祠堂中央部には、ナーガの下で瞑想する仏陀の像があります。

















主祠堂北側です。

















主祠堂北側の破風とまぐさ石です。

破風は、ラーマヤナ物語りの1シーンだと思います。

まぐさ石は、
Michel Freeman著「KHMER TEMPLES IN THAILAND & LAOS」
の中では、4本の手を持つVajrasattvaと、説明が有ります。

しかし、Vittorio Roveda著「Images of the Gods」では、
踊るシヴァ神と説明が有ります。
私も、踊るシヴァ神だと思います。

そうであれば、南と北の入口上に、
踊るシヴァ神のレリーフがある事になります。





そのVajrasattvaの拡大写真です。


















回廊北側の塔門のまぐさ石です。














そのまぐさ石の拡大写真です。

これは、象(右)とシンハ(左)を持ち上げている
クリシュナです。
(Vittorio Roveda著「Images of the Gods」より)










北回廊を抜けて、振り返って主祠堂を見たところ。

















主祠堂東側入口上の破風と、まぐさ石です。














その破風の拡大写真です。
ラーマヤナの一場面で、
魔王ラーヴァナの死の場面
です。

中央一番上は、
宇宙の中心を表している
ここPhimaiそのものと
思われます。
その下には、ハンサに乗った
ブラフマー神?
その下には、
左右から戦闘馬車に乗った
ラーマ王子(左)と、
魔王ラーヴァナ(右)が
激突しています。
中央の馬の足元には、
ラーヴァナの首が
落ちています。



右は、
主祠堂北側の
まぐさ石です。

クリシュナが、
カンサ王を
殺している
場面です。






主祠堂を西側から見たところ。

















その主祠堂の西側入口上部の破風とまぐさ石です。
















主祠堂西側入口上のまぐさ石です。

ラーマヤナ物語のシータ姫を助けに行く為に、悪魔軍が待ち受けるランカ島へ橋を架ける場面です。
(ランカ島は、スリランカに当たります。)
まぐさ石の左側は、ランカ島の悪魔軍です。
右側は、橋を架ける為、石を運ぶ猿の軍団(ラーマ軍)です。
海中には、海に住む魚やドラゴン(マカラ?)が表わされています。
橋架けを手伝っているところです。













主祠堂西側入口上の破風です。

ラーマヤナ物語の悪魔軍とラーマ軍の戦いの
場面です。












主祠堂の南側に隣接するMandapaと呼ばれる
拝殿です。

西側から見たところ。











拝殿の西側入口上部のまぐさ石です。












下は、その拡大写真です。

ラーマヤナ物語で、魔王ラーヴァナの息子インドラジットが魔法の矢を射ると(左上)、
矢が蛇に変わり、その蛇がラーマ兄弟を締め上げています。
まぐさ石の左下には、インドラジットが弓を射ている事を、注意喚起している猿がいます。
更に心配そうなそぶりの猿達がいて、面白い。

参考までに、
インドラジットは、ニクムビラの魔法でインドラ神を打ち負かした事があり、
「インドラ神を征服した者」、すなわち、インドラジットと呼ばれるようになりました。













そのまぐさ石の上の
破風の拡大写真です。

ラーマ兄弟の
危機を見て、
猿の軍団と
ガルーダが
空から急降下し、
助けに向かっています。


拝殿の東側入口上部の破風とまぐさ石です。













下は、そのまぐさ石の拡大写真です。
ラーマヤナ物語で、ラーマ兄弟が魔王ラーヴァナとの戦いに勝利し、Ayodhyaに帰還する場面です。
















そして、そのAyodhyaへの帰還のまぐさ石の上の
破風です。

最上部は、ナンディン牛に乗ったシヴァ神です。
そして、その下の左側から、
ハンサに乗ったブラフマー神、
アイラーヴァタに乗ったインドラ神、
ガルーダに乗ったヴィシュヌ神です。







祠堂上部構造の破風、軒鼻飾りのレリーフです。

















中央はガルーダです。

















主祠堂の南東に位置するPrang Brahmadatの
まぐさ石です。
説法をする仏陀の立像です。












Prang Brahmadatを北側から見たところ。

















Prang Brahmadatの
北側入口上部の
まぐさ石です。

カンサ王が呼び寄せた
悪魔ケーシンが化けた馬と
闘っているクリシュナです。
クリシュナの頭は欠けて
います。

その場面を、3匹のシンハが
支えています。

ジャヤヴァルマン7世の像のレプリカです。
本物は、 Phimai国立博物館 にあります。
















Prang Brahmadatのまぐさ石です。

上段は、瞑想する仏陀で、それをシンハが
支えています。











祠堂の南西に位置するPrang Hin Daengです。
赤い石の祠堂と言う意味えです。
東側から見たところ。















そのドアフレームです。
ピラスターの下部には、苦行者のレリーフがあります。
















回廊の北東角のまぐさ石です。
回廊には、タントラ仏教関連のまぐさ石があります。












回廊の北東角のまぐさ石の拡大写真です。














北東隅から見た祠堂です。














回廊を出て、北東の聖池越しに遺跡を見たところ。














北側より祠堂を見たところ。














更に北側の周壁の塔門から祠堂を見たところ。

















その北塔門の柱です。

















遺跡の敷地内には、多くのまぐさ石があります。

大蛇カーリアと闘うクリシュナのまぐさ石です。












このまぐさ石は、かなり磨滅しており、
レリーフの内容の判別が難しい状況です。













ガルーダに乗るヴィシュヌ神?














カーラの上部のレリーフは、未完のようです。














3匹のシンハが支えているのは、仏陀です。














兵士の行軍です。












































ハンサの上は、苦行者です。














ガルーダの上は、瞑想する仏陀像です。














南西の聖池越しに回廊、及び、祠堂を見たところ。














南西から回廊、及び、祠堂を見たところ。














周壁です。














周壁の南塔門の連子状窓です。





























Phimaiは、城壁に囲まれた街です。
右は、その城壁の南側の門のPratu Chaiです。
Pratu Chaiとは、勝利の門と言う意味です。












城壁の一部です。















■Prasat Phimai / 遺跡の街 第2弾
この遺跡は、何度も訪問していますが、それでも、後から、あれも見てない、これも見てないと
後から見落としに気づいてしまいます。
2009年10月に再訪したので、その内容を紹介します。
特に、本篇で紹介できてない「聖水を流したSomasutra」等を紹介します。

「Prasat Phimai / 遺跡の街 第2弾」は、 ココ をクリックください。




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