厳島神社 桃花祭 御神能初日:  2017.04.16



昨日は、厳島神社の桃花祭で、御祭神へ桃の花が供えられ、舞楽が奉納されまました。
そして、今日から三日間、御神能が奉納されます。

フェリー乗り場のある宮島口へ向かいます。

宮島口の前のローターリーには、
舞楽で舞われる 蘭陵王 の像があります。














蘭陵王の像。






















家を出るときは晴れていたが、宮島口は、
俄かに霧が出ている。

視界不良でフェリーは欠航になったようだ。

欠航になる前に宮島を出たフェリーが宮島口に
到着したが、霧で見えない。









着岸に難航するフェリー。















しかし、数分後に霧は晴れ始め欠航が
解除された。














どうも弥山から吹き降ろされた冷気によって
霧が発生し、対岸の宮島口まで霧が流れて
来たが、宮島側は晴れているようだ。

フェリーへ乗り込んで、宮島からやって来る
フェリーを見たところ。










霧が徐々に晴れ、白い靄の中を進むフェリーが
幻想的だ。














宮島へ向け出発。















ふり返って本土側を見たところ。















 宮島の大鳥居は、靄の中だ。
















宮島。

大野瀬戸方向を見たところ。














大鳥居が見えてきた。















千畳閣の大屋根と五重塔も見える。















フェリーが宮島へ到着し海岸沿いを、厳島神社へ
向かう。














海岸沿いの道から五重塔を見たところ。






















大鳥居も、靄のせいか、淡い光線を浴びて
美しい。














大鳥居。














厳島神社。
















厳島神社へ入ると、まず客神社がある。

入口を入ったところで東廻廊の修復工事が
行われており、海の上に迂回路が仮設されて
おり、その迂回路から見たところ。

右側が客神社祓殿。









東廻廊へ戻り、客神社祓殿を見たところ。















客神社祓殿の反対側には、拝殿があり、
その奥に客神社本殿があり、
天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)
天穂日命(あめのほひのみこと)
天津彦根命(あまつひこねのみこと)
活津彦根命(いくつひこねのみこと)
熊野櫲樟日命(くまのくすびのみこと)
が祀られている。








東廻廊から五重塔を見たところ。

干潮時にのみ見る事ができる鏡の池も見える。













東廻廊に囲まれた枡形。















揚水橋。

渡る事はできません。













右門客神社。

櫛磐窓神(くしいわまどのかみ)が祀られている。













中央が御本社祓殿。

右に高舞台が見える。













能舞台。

ここで御神能が行われます。

御神能の初日は喜多流で、二日目は観世流、
そして、三日目は、再度、喜多流の能が舞われ
ます。









能舞台の前には仮設の観客席が設えてある。

能舞台の正面は、早く来られた方が場所を
とられている。

能の観客席の事を、見所と言います。










仮設の観客席の隅では、座布団を貸し出したり、
弁当、コーヒー、お酒、等を売っている。 














能舞台。

能舞台の背面にあたる鏡板には、永遠の背景
として、「老松(おいまつ)」が描かれている。

この老松は、春日大社に実在した「影向(ようごう)の松」を模したのが始まりと言われている。

どのような演目であろうとも、老松の背景で
能は演じられる。






能舞台に向いて左側には、演者が出入りする
通路であり、かつ、実際に縁起が行われる演技
空間でもある「橋掛かり」がある。

いつの間にか最初の演目の「翁(おきな)」が
静かに始まっている。 

最初に、翁渡りと言って、千歳、翁、三番叟
(さんばそう)の順に登場です。 







続けて、囃子方、後見、地謡方が静かに入って
きます。

三番叟以下は、翁の一礼を、橋掛かりで待ち、
その後、所定の位置につく。











翁は、「能にして、能にあらず」と言われ、まさに
別格の一曲。

物語めいたものは無く、神聖な儀式であり、
演者は神となり、天下泰平、国土安泰を祈祷
します。

千歳、翁、三番叟の順に舞われます。 


右に面箱を捧げ持っている面箱持ちは、
喜多流では千歳が兼ねます。




三挺の小鼓が打ち出し、次に、右端のシテの
謡が始まります。

シテとは、主人公を演じる者を指す。 
 











千歳(せんざい)の露払いの舞が始まります。















その間にシテは、面箱より翁面をとり出し、
翁面をつけて、翁の神に変身します。














翁面、白式尉(はくしきじょう)をつけたシテ。















 千歳の露払いの舞。















そして、翁の舞が始まります。















 翁の舞。















白式尉(はくしきじょう)の面をつけた翁。















翁の舞。















舞い終わると、面をとり、礼をして、退場します。

これを翁帰りと言います。













次は、三番叟の舞が始まります。















最初は、面をつけない直面(ひためん)で、
揉の段を舞います。














三番叟の揉の段。















 三番叟の揉の段。















次に三番叟は、黒式尉(くろしきじょう)の面を
つけます。

黒式尉(くろしきじょう)の面をつけるのを助けているのは後見(こうけん)です。











黒式尉(くろしきじょう)の面をつけた三番叟。
















 三番叟が面箱と問答を行い鈴を渡される。














 
鈴を持って、舞を始める。















鈴の段の舞である。















右手に鈴、左手に扇を持って舞っている。















 小気味良く刻む鈴の音が気持ち良い。















 鈴の段。















 黒式尉(くろしきじょう)の面をつけた三番叟。















 鈴の段。















 鈴の段。















鈴の段が終わると、面をとり、鈴を面箱へ
戻して退場する。














次の演目の「養老(ようろう)」がはじまります。















第二十一代 雄略天皇の御代の事。

美濃の国、本巣の郡に不思議な泉が湧くと言う
知らせがあり、勅使が検分に訪れる。












そこへ、霊水を見つけた樵の老人と息子が
登場します。
 












 
樵の老人。






















 霊水を見つけた樵の老人と息子。















二人は勅使に問われるまま、泉を見つけ、
「養老の滝」と呼ぶに至ったいきさつを語ります。














息子が見つけた滝の水を老親が飲んだところ、心身ともに爽快に
なり、活力にあふれた事から、老いの身を養うと言う意を含めて
「養老の滝」と名づけられました。




















更に老人は滝壺を指し示し勅使に場所を教え、
さまざまな長寿と水にまつわる故事を引き
養老の滝から湧く薬の水を讃えます。













勅使は、帝に良い報告ができると喜びます。















 そして、帝に捧げる霊水を汲みます。






















天から音楽が聞こえ花が散り振ると言う吉兆が
現れました。















樵の老人と息子の親子が退場します。















次に、里人が登場します。















能舞台の正面の見所で、能を観賞する人達。















西廻廊からも、観光客が足を止めて、能を見て
いる。














能が始まる頃は、潮が引いていたが、徐々に
潮が満ちて来ています。














里人が、養老の滝の謂われを物語り、霊水を
讃えます。














里人の舞。















里人の舞。















黒い大きな髭が無くなった。
















里人の舞。














囃子方。

右から小鼓、大鼓、そして柱の陰に太鼓。













そして、養老の山神の登場です。















山神。















楊柳観音菩薩の化身だと名乗ります。















そして、霊水を讃え、舞を舞います。















山神。















山神。

横に広がった大口と呼ばれる袴が、目を引きます。













山神が舞う能舞台。















颯爽と舞を舞って、天下泰平を祝福します。















山神が退場します。















能舞台の鏡板の右横の壁には、
切戸口(きりどぐち)と呼ばれる出入口がある。

この切戸口は、シテの後見、囃子方の後見、
地謡の出入りに使われる。

通常は、この切戸口の外は、海だけれど、能が
行われるこの日は、仮設の渡廊が設置されて
いる。







次の演目は、狂言「雁礫(がんつぶて)」です。















まず、弓と矢を持った大名が登場します。















そして、獲物を探します。















水辺の雁を見つけて、矢を構えます。















 が、狙いが定まりません。















また、構えますが、狙いが定まりません。
 














雁に狙いを定めているところへ、一人の男が
やって来ます。














あれに見事な雁が…。















大名が狙い定めているところへ、男が礫を
下手投げで投げつけ、見事に命中します。














男が礫を投げて殺した雁を持ち帰ろうとすると
大名が狙い殺した雁を持っていくのかと怒ります。

そして、雁を持ち帰ろうとする男に大名が矢を
向けようとすると仲介者が止めます。











礫を投げて雁を殺し持ち帰ろうとする男の役は
なんと青い目の外人さんでした。

でも、まったく違和感はありません。

そして、雁には洞烏帽子が使われてます。










仲介者は、死んだ雁を、再度、元の場所に戻し、
大名が元の位置から矢を射て雁に当たれば、
雁は大名に渡し、外れれば男が持ち帰る事を
提案します。

大名は死んだ雁に狙いを定めようとしますが、
定まらず、雁に近づきます。

男は、最前の場所から射させられいと、大名を
元の場所へ戻します。

大名の放った矢は足元に落ちてしまい、男が
雁を持ち帰ります。



次の演目は、「箙(えびら)」です。

囃子方が、入ってきました。













老松(おいまつ)の描かれた鏡板の前に
座るのは囃子方。

右側に座るのは地謡方。












旅の僧の一行が登場します。















九州から都に向け旅をする途中、摂津の国、
生田川へ着きました。














そこで咲き誇る梅を眺めます。















そこへ一人の男が通りかかります。

旅僧が梅の名を尋ねると、「箙(えびら)の梅」と
答えます。

そして、その名の由来は、源平合戦の折りに、
梶原源太景季(かじわらげんたかげすえ)が、
梅花の枝を箙にさして奮戦した事を話します。

やがて夕刻になり、旅僧は一夜の宿を請います。

すると男は、景季の亡霊であると正体を明かし
梅花の木陰に宿をとるように言い消えます。




老松(おいまつ)の描かれた鏡板の前に座る
囃子方。

奥から笛(能管)、小鼓、大鼓。












能舞台と見所の間に、小鹿が迷い込んでます。















生田川の近隣に箙の梅を見に来ます。

そこで、旅僧の問いかけに答え、源平合戦に
ついて語ります。












夜になり、旅僧達は梅の木陰で眠ります。

すると夢の中に景季が現れます。













梶原源太景季(かじわらげんたかげすえ)。

背中におった箙には、梅花の枝がさしてある。













景季。















  景季。















 景季。















 景季。

















 景季。















 景季。














 景季。















景季。

そして夜が明けます。
景季は供養を頼んで行きます。












 景季が退場します。















次の演目は、狂言「右近左近(おこさこ)」です。

まずは、右近が登場します。









 



続いて、右近の女房の登場です。















隣の左近が勝っている牛が自分の田を荒らした
ので抗議に行ったら、悪びれもせず、畜生がした
事と平然としており、地頭に訴えてやると、女房に
話する。












左近は、村一番の口利きで、地頭とも親しい間柄。





















一方の右近は、口下手で地頭とも馴染みが無い。
到底、右近の勝ち目は無い。





















ならば、妻は大名烏帽子かぶって地頭になり、
訴訟の稽古をする事に。














 大名烏帽子かぶった妻と、右近。















妻は、地頭になりきって、右近を詰問する。






















右近の訴訟の稽古で、地頭になりきった妻。






















地頭になりきった妻の詰問に、おろおろする右近。















口下手で臆病な右近は、妻の詰問に言葉が
出てこない。














とうとう目を回した右近を、大名烏帽子をとって
介抱する妻。

そして、妻は右近の身を案じ、訴訟を思いとどまる
ように言う。











しかし、右近は妻を左近びいきと非難し、密通を
疑う。

そして、右近は棒を持って、妻と喧嘩に。












結局は、妻の方が強く、棒を奪われる。















そして、妻は、勝手にするがいいと出て行く。

残された右近は、笑うなら笑うがいいと、退場する。













能舞台の屋根には、ハクセキレイが遊びに来て
いた。














次の演目は、雲林院。

伊勢物語をこよなく愛する芦屋の里の公光と
言う男が不思議な夢を見て、夢告に従って
京都の郊外、紫野に建つ古刹、雲林院へ
やって来た。










公光と従者。















雲林院は、桜が満開で、花の盛りを迎えていた。















その桜が美しく、公光は桜の枝を折ります。
















ふと、能舞台の屋根を見ると、イソヒヨドリが
遊びに来ていました。














公光が桜の枝を折ったところで、一人の老人が現れます。






















老人は、古歌を引いて、公光が桜の枝を折った
事を咎めます。














風に吹かれて花が散っても、来年にはまた新しい花を咲かせる。なのに枝ごと持ってゆくそなたは、
嵐よりもなお憂き人よ。

公光は答えます。
古い歌に、「花を見ぬ人のため、一枝手折って
ゆこう」ともあります。

老人と公光は風流な歌問答を交わします。







その後、公光が見た夢を語ると、老人は「それは
伊勢物語の秘事を在原業平がそなたに授けようと
したのだろう。」と告げ、自分はその業平の化身で
あると仄めかして消え失せた。












能舞台から西廻廊へ目を移すと、結婚式を
挙げたばかりのカップルの写真撮影が行わ
れていた。













公光は、通りかかった里人に、伊勢物語の故事を
尋ねる。里人は物語をし退場します。














今度は、屋根の上にコサギが止まりました。















これは、ヒヨドリかな?















公光が雲林院で夜を迎え、夢の中に在原業平の
霊が現れた。














そして、業平は伊勢物語の秘事を語ります。















あの夜、引徽殿(こきでん)に佇んでおられた
二条の后。その美しい姿に惹かれ、私は彼女を
連れて、内裏を飛び出したのです。

引徽殿(こきでん)とは、平安御所の後宮の一つ。











頃は二月。
宵の内に月は沈み、暗闇の中を逃げて行き、
途中、花散り積もる芥川を渡り、草の露にしおれた
袖をからげ逃げて行く。












降り出した雨は、次第に強くなり、頬を伝うは雨か、
それとも恋の涙か、迷い歩く。














舞の途中で装束に乱れが出ると、鏡板の前に
待機していた後見が、装束の乱れを直します。














業平は、「あの頃が懐かしい。月よ、私の舞を
覚えているかい…」
問いかけながら、懐旧の舞を舞います。

夜が明けようとすると、業平は消えて行き、
公光の夢は覚める。










見所の前の干潟には、蟹が出て来た。















次は、狂言の千鳥です。

太郎冠者の主人、太郎冠者、酒屋が登場して
来ます。












太郎冠者は、主人から今晩にわかにお客がある
ので、酒を一樽求めて来るよう命じられる。














酒屋は、今までの支払いが済んでないのにと
そっけないが、今回のお代は持って来たと言う
事で、酒樽を準備する。

しかし、太郎冠者は、お代を払わずに持って帰ろう
とし、酒屋に止められる。










お代を持って来るのを忘れたので、酒樽を持って
帰った後に、お代を持って来ると言って、先に酒樽
を持って帰ろうとする。
しかし、酒屋は許してくれません。

そして、酒屋は、しばらく来なかったが、お代が
ある時はよその酒屋へ行き、無い時はうちへ
来るとなじります。

太郎冠者が、しばらく来なかったのは、主人の伴を
して尾張の津島祭りへ行って留守をしていたから
じゃと話すと、酒屋はその話を聞かせろとなった。




祭りへ行く途中、伊勢の浜辺で子供達が千鳥を
伏するところがあり、その話をする。

酒屋に扇を顔にかぶせさせて、「浜千鳥の友呼ぶ
声は」と囃子させる。

それに合わせて太郎冠者は、「チリチリヤ、チリチリ」と返しながら、酒屋が扇で顔を隠している間に
千鳥に見立てた酒樽を持ち帰ろうとする。







しかし、酒屋に見つかってしまいます。

千鳥を伏するところおもしろない。
もそっと他の話をさしめ。












と言う事で、祭りで山鉾を引く話をする事に。

山鉾に見立てた酒樽に巻かれた綱を引き綱に
して、山鉾を引く。












酒屋の「ちょうさや、ちょうさ」のお囃子に、
太郎冠者が「えいともな、えいともな」と掛け声を
合わせ、山鉾を引く。

そして、太郎冠者は、山鉾に見立てた酒樽を
持ち帰ろうとする。










しかし、酒屋に見つかって止められます。

山鉾を囃するところおもしろない。
もそっと他の話をさしめ。

ところが、太郎冠者は、話はしたいが忙しいので、
お代を取りに帰ると言い出します。
そして、酒屋に、今度よう話ができたなら、あの樽を
お代無しでもやらまいでも無いと言わせます。


それではと、流鏑馬の話を始めます。




酒屋が、「ばばのけ、ばばのけ」と馬場先の人を
払わせ、太郎冠者が「おんまがまいる、おんまが
まいる」と曲乗りを披露する事に。

馬は、太郎冠者が、細い竹の杖を股に挟んだ
竹馬で代用する。










そして、とうとう太郎冠者は、「おんまががまいる」と
掛け声をかけながら、酒樽を持って帰る。


こうして、酒屋は、太郎冠者にしてやられた。











次の演目は、籠太鼓(ろうだいこ)です。

能の準備として、後見が牢の作り物を舞台へ
運び出します。












ここは、九州、松浦の地。

この地の知行、松浦の某と、その従者が登場し
ます。












松浦の某が、この地の知行のうちに、関の清次と
申す者が、領地をめぐる争いから相手を殺害して
しまいます。

松浦の某は、関の清次を牢に入れ、身柄を拘束
します。










そして、関の清次は、力が強い者なので、
厳重な番を命じていた。














しかし、牢へ行って見ると、清次は牢を破り抜けて
いた。

松浦の某へ、それを報告すると、清次の妻を召し
出させる。











清次の妻が登場する。

白赤緑の幕は、揚幕と言い、この幕の奥を
鏡の間と言う。












清次の妻。















午前中、満ちて来ていた潮が引いている。















松浦の某が、召し出された妻に、清次の行方を
問いただすが、妻は知らぬと言うばかり。














松浦の某は、妻が知らぬはずは無いと、妻を
夫のかわりに牢へ入れる。














牢に入る清次の妻。















牢には、時を知らせる鼓を掛けさせ、一刻ごとに
鼓を打つよう命ずる。














妻は牢の中で、夫に逢えぬ悲しさから涙に咽ぶ。

松浦の某は、妻が狂気になったと知らされ、夫の
在処さえ白状すれば牢から出してやろうと言う。












それでも妻は知らぬと言い、また、たとえ知って
いたとしてもどうして白状しようかと言う。

妻の心に感じた松浦の某は、牢を開放する。












しかし、自分は夫の代わりとしてここにいるの
だから、この牢こそ夫の形見と、牢を出ようと
しない。













妻のあまりのいたわしさに見かねた松浦の某は、
夫婦ともに許してやろうと言う。

妻は、夫の身を案じ、悲しみに暮れつつ牢を出る。












牢を出る妻。















妻は、牢に掛けられた太鼓に目が留まり、「時を
知らせる鼓は鳴っても、あなたはまだ来ない。
あなたが現れるまで、いくらでも待つわ。」と夫を
想う。












妻は鼓を打ち、狂乱の舞を舞います。















妻は、「愛する夫と夢で逢えた。私が身代わりに
なってこそ、あの人と二世を契った甲斐もある。」
と狂乱する。













夫を想う妻。















そして狂乱の舞を舞う。















「もはや、この牢を出る事はあるまい。」















妻は、再び、牢へ入ってしまう。















牢へ入る妻。

松浦の某、一層、感じ入り、夫婦共々、命を
たすくべしと、赦免する事を神に誓う。


妻は、それを聞くと、夫の居場所を明かし、牢を
出て行く。








次は、狂言「月見座頭(つきみざとう)」。















名月の夜、一人の座頭が、月を見る事はできなく
ても、虫の音を楽しもうと、野辺に出かけます。














今日は朝から能を観賞してきたが、既に4時を
過ぎ、見所の正面席に西日が射し込みはじめ、
観客がまばらになってきた。

と言う事で、正面席へ移ってみた。

さすがに手すりにもたれる場所まで前に出ると
西日でまばゆいので、少し控えて見る事に…。








能舞台から、ふと目を右に移せば、大鳥居が
見えます。

潮が引き、多くの人が鳥居まで歩いてます。













座頭が虫の音を楽しんでいると、一人の男が
現れる。














男は、座頭がいるのに目を留め、月は見えぬ
はずなのにと不思議に思い、声を掛けます。














虫の音を楽しんでいるとの座頭の答えを受け、
二人の会話が始まります。














そして、お互いに歌を詠み、うちとけます。















そして、酒を酌み交わし、















酒を飲み干します。















そして、お互いが舞う事に。















男が舞い、















酒を酌み交わし、















座頭が舞います。















この女性は、外人さんでしたが、狂言に見入って
ました。














目が見えないために人につきあたったては、
よろめき転び笑われるわが身を嘆く「弱法師」を
舞います。













座頭の舞。















そして、酒を酌み交わす。















そして、楽しかった宴も終わり、お互いに感謝しながら、別れます。






















しかし、帰りかけながら、男は座頭のところへ戻り、
座頭にぶつかり引き倒します。














座頭は、這いつくばり、杖を見つけ、ようやく
立ち上がり、今の奴は、先刻楽しく過ごした男に
ひきかえ情けの無い奴だと嘆きます。

座頭は、楽しく時を過ごした男と、自分を引き倒した
男が同一人物とは気が付きません。










善と悪、残酷さを持つ人間の二面性に驚き、
考えさせられました。




能舞台の前に仮設された見所の風景。









見所から大鳥居を見たところ。















次の演目は、「鵜飼(うかい)」です。

老松が描かれた鏡板の前に囃子方、その右側に
地謡方が座ってます。












安房国清澄の僧が従僧を連れ甲斐国へ旅立ち、
石和へ着きます。














石和川のほとりの御堂で一夜を過ごす事にする。















そこへ松明を持った鵜飼の老人が現れる。















鵜飼の老人。















齢を重ねた老人の様子を見た旅僧は、そのような
殺生の仕事を止めて、他の仕事で生計をたてる
よう勧めるが、老人は今更止めるのは難しいと
答える。












その問答を聞いた従僧が、2、3年前にこの辺りを
通った事を思い出し、その時も、鵜飼に会い、殺に当たる事を諭し、もてなしを受けた事を語る。













すると、老人は、その鵜飼は殺生禁断の禁制を
破った咎めを受けて殺された事を語ります。

そして私こそが、殺された鵜飼の亡者であること
を告げ、弔いを依頼する。











罪滅ぼしの懺悔の為に、罪の元となった鵜飼の
技を見せるよう頼まれる。














鵜飼の老人は、罪の元となった鵜を使った漁の
様子を見せる。














鵜の段である。















鵜の段。















そして、鵜飼の老人は、消えて行く。















里人が旅僧達の様子を見に来た折りに、禁漁を
犯した鵜飼について訊ねると、里人はそれに
ついて物語る。

そして、その鵜飼の亡霊が出た事をきくと、弔いを
お願いする。










旅僧は、川瀬の小石の一つ一つに一字ずつ
法華経の文句を書き連ね、鵜飼の亡霊を弔った。














能舞台から視線を横に移し、西廻廊、平舞台、
左楽房を見たところ。














旅僧が弔いをするうちに、閻魔大王が現れる。















閻魔大王。















赤い髪、赤い顔、恐ろしげな雰囲気が漂う。















鵜飼は弔われ、そして、生前、僧侶をもてなした
功徳もあって救われた事を知らせます。














そして、法華経の有難い御利益を讃えます。















閻魔大王。















閻魔大王。















閻魔大王。















閻魔大王。















閻魔大王。















閻魔大王。















閻魔大王。















閻魔大王。















退場する閻魔大王。
















御神能の初日が終わりました。


西日を浴びる西廻廊。













天神社。
西廻廊を挟んで、能舞台の反対側(南側)にある。

弘治2年(1556年)、毛利隆元によって、寄進された。

丹が塗られて無い素木なのは、社殿群の中で
新しい建物の為。









高舞台の西側、平舞台から能舞台を見たところ。

能舞台、そして橋懸りの裏には、渡廊が鏡の間まで
設えてある。












西側の平舞台から御本社祓殿を見たところ。















正面に御本社祓殿、左に高舞台を見たところ。















左門客神社。

高舞台から大鳥居に向かい、火焼前(ひたさき)を
挟んで左側にある。












火焼前(ひたさき)を挟んで右側にあるのが、
右門客神社。














高舞台の東側の狛犬。

この狛犬は雌。
性器が彫られており、めずらしい。



















高舞台の西側の狛犬。

この狛犬は雄。



















御本社拝殿前を見たところ。















御本社拝殿横の内侍橋(ないしばし)。

右が御本社拝殿、左が東廻廊。













客神社祓殿。

東廻廊の修復工事が行われており、海の上に
迂回路が仮設されており、その迂回路から見た
ところ。











御笠浜から見た夕日。















潮が引いて、観光客が大鳥居まで歩いている。























■参考
・2016年の菊花祭の紹介は、ココ。(←クリックしてね!)
・2017年の桃花祭の紹介は、ココ。(←クリックしてね!)



 

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